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2017/02/23 16:23

ようびの家具づくりで大切にしていること

  ―私たちが作りたいのは、「人に使ってもらって生活が楽しくなる物」。観賞用ではなく、使い勝手の良さと楽しさがあふれる「用の美」。相手の欲しいものを本気で作るとそこに「用の美」が生まれる。  ようびが工房を置く西粟倉村は全面積の95%が森林、村民1500人強は海抜300m台の盆地に暮らす。「50年まえに将来の子どもや孫のために植えた木を、立派な100年の森に育てていく」と、村ぐるみで英断。今や清流と自然にも恵まれた地域再生の成功モデルとして名高い。ようびもこの地で育まれた檜を中心に、「やがて風景になるものづくり」をめざしてきた。白くて軽く美しく、古くより建築には用いられてきた国産檜。世界的に見ても貴重なこの材を用いて、世代を超えて繋がる日本の家具を作り続けたい。       

   
 私たちは毎日木に触れます。毎日木の呼吸や動きを読みとき、気候や温度、湿度を意識して制作しています。「板」は「木が反る」と書きます。それほど無垢の木は反る事がはじめからきまっているようなもので、木の癖があります。そのぶんだけ呼吸する生き物と同じで、材料になって小さく姿をかえても常に生きている素材なのです。だからこそ、それを扱う職人が試されます。私たちのものづくりは「この板は将来どのようにへんかするのだろう」とか「この材は外側に来た方が美しいのでは?」といった具合に手と目と経験と想像力をフルに活用します。一枚一枚の木に向き合いながら、人の手でこそ伝えられる想いと技術を日々深めています。

 例えば、一見完成しているように見える家具も、手で隅々まで触ってみるとささくれがあったり、ざらつきがある場合があります。それらはなかなか機械だけの作業ではケアできないものです。そのためようびではひとつの製品の完成を、人の手が届いてないカ所がない状態まで徹底して磨き上げています。そうする事で、シャープな線を保ちながらも、誰の手にも触れるときに痛さや違和感を感じない仕上がりになります。 またペーパーコードというイスの座面をつくるための編み込みも、人の手で行います。とっても時間と体力のいる行程ですが、一本一本編み込まれた座面は、例えば少し緩めに調節したり、固く強固な仕上がりに調節する事ができます。そうする事でお客様のご要望にお応えすることができます。家具づくりは板一枚、約4Mの材料から切り出して各部材の材料にしています。そのため一枚のなかでいかに効率よく、無駄な余りを出さないように工夫を凝らして選び抜いています。そうする事で、生き物を扱う私たちこそ環境に対する配慮を欠かさないものづくりを続けていきます。    

   

素材としての檜

 ようびでは、檜を活用したものづくりに挑戦しています。檜は九州から福島県辺りまで生息し、古来より神社仏閣等で用いられ、高価値取引され大切にされており、半世紀前の戦後の政策において多くのスギ、ヒノキが植林されました。

しかし、安価な輸入材や、生活様式の変化に伴い、本来の価値を失っていったこれらの針葉樹は、林業の衰退とともに放置され、山々が荒廃する道を辿りました。 しかし、この日本の大切な資源は日本と台湾の一部でしか生息していないため、家具として使われてきた歴史がありませんでした。そこで私たちようびは、この50年前に植えられた財産を見直し、新たに家具としての価値を吹き込む事に成功しました。 その柔かい木の性質上、開発は困難を極め、製品として充分な強度を生み出す技術の開発に2年を費やし、現在では日本国内外でその価値を共感して頂ける方々が多くいらっしゃいます。 荒れ果てた山から木を運び出し、家具として使うことで、敵度に光の入った森は、序々に健全な姿を取り戻していく事でしょう。ヒノキの美しい木肌、手触りの良さ、軽さを、もっと多くの方に体感してもらい、日本中の山々が健全な姿に戻る事を、私たちは本気で夢見ています。 ※主にヒノキを使用したものづくりを行っていますが、他の樹種の材料やお手持ちの木でもお作りしております。どうぞお気軽にご相談ください。
  

家具づくりのポリシー

ようびは地球にとって良くないもの、汚染するネガティブなものに対して加担しません。そのため、発送する荷物もゴミを極力出さないよう、家具家財便か自社の毛布を再利用してお届けさせて頂いております。